日本の「平均年収460万円」はあてにならない?

「日本の平均年収は約460万円」とよく言われます。国税庁の民間給与実態統計調査(2023年)でも、たしかにそう記載されています。
しかし、ここで注意したいのは、それが“平均”であるという点です。極端に高収入な一部の層が数字を押し上げており、実際に年収460万円以上をもらっている人は全体の約4割しかいないとされています。
つまり、残りの**6割以上の人が「平均に届いていない」**というのが現実なのです。
実態に近いのは「中央値」:年収370万円のリアル

「中央値」とは、すべての人を年収順に並べて、ちょうど真ん中の人の年収を指します。こちらは約370万円程度とされ、実態に近い水準です。
これは特に、若年層・女性・非正規雇用者に顕著です。非正規雇用は全体の約4割に達しており、彼らの年収は200万〜300万円台が大多数。正規でも初任給が20万円前後の企業が多く、地方ではさらに低い傾向にあります。
一方で1,000万円以上の高所得者も増加
一方で、年収1,000万円以上の高所得層も確実に増えています。特に以下の業界では顕著です。
- IT・外資系コンサル
- 金融・投資系
- 医薬・製薬系エリート職
リモートワークの普及や成果主義の浸透により、都市部・大企業を中心に「高収入の人はますます豊かに」という傾向が続いています。
年収格差はなぜ広がるのか?

1. 雇用形態の格差
非正規雇用の拡大により、同じ仕事をしていても賃金に大きな差が生じています。
2. 地域間格差
東京と地方では平均賃金に100万円以上の差があるケースもあります。
3. 労働分配率の低下
企業は過去最高の内部留保を積み上げていますが、給与に還元されていない実態があります。
参院選で問われる「日本の給料」の未来

2025年夏に予定されている参議院選挙では、「消費税減税」や「最低賃金の引き上げ」が重要な争点になる見通しです。
- 与党案: 賃上げ促進税制、投資による成長
- 野党案: 消費税の一時減税、非正規の待遇改善
しかし、根本的に必要なのは「働く人の可処分所得を増やす」政策です。減税も有効ですが、給与が上がらなければ消費は活発になりません。
あなたの給料は「平均」に騙されていないか?
平均年収460万円という数字に安心している人も多いかもしれません。しかし、それはあくまで統計上の“平均”にすぎず、実感とかけ離れた幻想に近いものです。
自分の給与水準がどこに位置しているのか。
このまま今の働き方で将来が見えるのか。
そして、政治がどこまでこの格差を是正する意思があるのか。
私たちは“数字”だけでなく、“実感”をもって判断しなければなりません。
✅ まとめ
- 平均年収460万円は「一部の高所得層」によって引き上げられている。
- 実態は中央値370万円前後で、6割以上が平均に届かない。
- 非正規・若年層・地方在住者などの賃金は依然として厳しい。
- 参院選を前に、賃上げや減税をめぐる政策議論が加速。
- 自分の給与と社会全体の動向を冷静に見極めることが大切。
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