◆ はじめに
最近ニュースで「生活保護の支給額が減らされた」とか「数千億円が削減された」といった言葉を目にしたこと、ありませんか?
でも「生活保護ってそもそも何?」と感じる人も多いはずです。
今回は、10代でもわかるように生活保護のしくみと、最近のニュースの意味をやさしく解説していきます。
◆ 生活保護って、簡単に言うと?

ざっくり言えば、「生活が苦しくて、最低限の暮らしができない人を、国がサポートする制度」です。
たとえば、
- 仕事がなくて収入がゼロになった
- 病気や障害で働けない
- 家族に頼れない、頼れる人がいない
こんな時、「生活費が足りない…」という人に、国がお金を支給してくれる制度が生活保護です。
いわば“最後のセーフティネット(命綱)”となります。
◆生活保護はどんなお金がもらえるの?
生活保護では、大きくわけてこんな支援があります。
支援の種類 | 内容 |
---|---|
生活扶助 | 食費や衣服代、日用品など毎月の生活費 |
住宅扶助 | 家賃(一定の上限あり) |
医療扶助 | 病院代が無料になる |
教育扶助 | 学用品や給食費など、子どもの教育のための支援 |
つまり、「生きていくために必要な最低限のお金やサービス」を国が出してくれるんです。
◆ 生活保護って誰でももらえるの?
実は、生活保護をもらうためにはちょっとハードルがあります。

- 持っている貯金が少ない(資産がほぼない)
- 働ける状態なら、まずは仕事を探す努力が必要
- 他の制度(年金、手当など)を優先的に使っている
これらを満たした上で、「それでも生活できない」と判断されたら受けられます。
だから、働いている人や貯金がある人は対象外になることが多いです。
◆ じゃあ最近のニュースって何が問題なの?

出典 bengo4.com
2013~2015年にかけて、国は生活保護の支給額を段階的に引き下げました。
この結果、2018年までの約5年間で合計約3000億円(!)が削減されたと言われています。
これは、たとえば単身の受給者だと、
- 月に数千円ずつ、生活費が減っていく
- 家計のやりくりがさらに厳しくなる
という状況につながりました。
「削減した分、国の負担は減ったかもしれないけど、それで困るのは生活がギリギリの人たちだよね」という批判も多くありました。
📈 生活保護の申請件数は増加している

2024年の生活保護申請件数は25万5,897件となり、前年比で0.3%増加し、5年連続の増加となりました。これは、2013年以降で最多の件数です。この増加について、厚生労働省は新型コロナウイルスの影響や物価高騰、単身世帯の増加などが要因と分析しています。
特に高齢の単身世帯の増加が顕著で、2024年12月時点で生活保護を受けている世帯のうち、84万415世帯が高齢の単身世帯であり、全体の51.1%を占めています。
◆ 生活保護を受けることって、悪いことなの?
ここがすごく大事なポイントです。
生活保護は「悪いこと」ではありません。
日本では、「困っている人は助け合う」っていう考え方が憲法で決められています。
それに、生活保護を受ける人は不正をしているわけでもなく、ちゃんと審査を通って支給されている人たちです。
それでも、「周りの目が気になる」「恥ずかしい」と感じて、申請をあきらめる人が多いのが現実です。
◆ まとめ:制度を知ることは、自分や大切な人を守ること
生活保護は、「自分とは関係ない」と思っていても、もしもの時に頼れる制度です。
事故、病気、家族の問題――人生にはいろんなことが起きる可能性があります。
大事なのは、「困ったときにちゃんと助けてもらえる」社会を知っておくこと。
そして、「支援を受けることを責めない」視点を持つことです。
◆ おわりに
支給額の引き下げは、ニュースとしては地味に見えるかもしれません。
でも、その背景には「暮らしの厳しさ」があります。
制度をちゃんと知って、誰かの立場に立って考える――
そんなきっかけになる記事になれば筆者はうれしい限りです。
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