2025年5月29日、相撲界でとても大きな動きがありました。かつて「史上最強の横綱」とも言われた白鵬(はくほう)さんが、現在の立場である宮城野(みやぎの)親方として、日本相撲協会に退職届を提出していたことが明らかになったのです。
関係者によりますと、相撲協会はこの退職届をすぐには受け取らず、いったん保留として対応しています。そして、6月2日に臨時の理事会(相撲協会の幹部会議)が開かれ、白鵬さんが指導していた宮城野部屋の今後などについて話し合われる予定です。
ただし、白鵬さんご本人の気持ちはすでに固まっており、相撲界から完全に離れる可能性が高いと見られています。
白鵬さんってどんな人?
相撲にあまり詳しくない方のために、まず白鵬さんがどんな方なのかをご紹介いたします。
白鵬(本名:ムンフバト・ダワーニャムさん)は、モンゴル出身で、日本に来て相撲界に入りました。長年にわたり「横綱(よこづな)」という一番上の地位に立ち続け、歴代最多の45回の優勝をはじめ、さまざまな記録を打ち立てました。
2021年に現役を引退した後、日本国籍を取得し、「宮城野親方」として後輩の育成に取り組んでいました。
なぜ退職することになったの?

今回の退職の背景には、白鵬さんが指導していた宮城野部屋で起きた暴力事件が深く関わっています。
2024年、部屋に所属する若い力士(お相撲さん)の間で、暴力行為があったことが発覚しました。調査の結果、部屋の中でいじめのような行為や、親方(白鵬さん)が問題に気づくのが遅れたことなどが指摘されました。
これにより、相撲協会は宮城野部屋を一時的に閉鎖する処分を下しました。これは、部屋の活動を止めて、再発防止のための対策を進めるための措置です。
その後、白鵬さんは再建に向けた努力をしていたようですが、協会側から「改善が十分でない」と判断され、部屋の再開も難しくなりました。こうした流れの中で、白鵬さんは自ら「責任を取る」として、退職届を出すことになったのです。
宮城野部屋ってどんなところ?今後はどうなるの?

「相撲部屋」とは、力士たちが生活しながら稽古(けいこ)を行い、技術や礼儀を学ぶ場所です。宮城野部屋は、白鵬さんが引退後に師匠として指導していた部屋で、若手の力士たちも複数在籍していました。
今回の暴力問題により、部屋は事実上の活動停止状態にあります。今後、白鵬さんが退職するとなれば、次のような可能性が考えられています。
- 宮城野部屋の正式な閉鎖
- 所属する力士たちの他の部屋への移籍
- 新たな親方による再建(ただし現実的ではない)
相撲協会としては、閉鎖の方向で検討が進められているようです。6月2日の理事会で正式な方針が発表される見込みです。
相撲協会はどう対応しているの?

相撲協会は、白鵬さんの退職届を「すぐに受け取る」のではなく、いったん保留として、理事会で話し合いを行うことにしています。
一部報道によると、協会内部では「退職を認める方向」で意見がまとまりつつあるようですが、「白鵬さんが果たして本当に退くべきだったのか」については、賛否両論があるようです。
相撲協会には、過去にも不祥事への対応に時間がかかったり、指導者側の責任が不明確なまま終わることがあり、今回もそのガバナンス(組織の統治力)が問われています。
白鵬さんのこれまでと今後

白鵬さんは、力士としては間違いなく「伝説」と呼ばれる存在でした。
- 優勝回数:45回(歴代1位)
- 通算勝利数:1187勝(歴代1位)
- 横綱在位期間:84場所(歴代1位)
一方で、指導者としては今回のようなトラブルもあり、「厳しさと優しさのバランスを取るのが難しかったのではないか」とも言われています。
今後については明らかになっていませんが、以前から白鵬さんは以下のような構想を語っていました。
- モンゴルと日本の架け橋となる活動
- スポーツや健康に関する事業
- 子どもたちへの礼儀教育や武道教室の開設
相撲界を離れても、白鵬さんらしい形で社会に貢献する道を進むのではないかと注目されています。
まとめ:白鵬さんの退職が意味するもの
今回の白鵬さんの退職は、一人の元力士が去るというだけではありません。
- 相撲界の古い体質
- 指導方法の在り方
- 不祥事への対応の不透明さ
といった問題が、あらためて注目されるきっかけとなっています。
「相撲は国技(こっき)として大切」と言われる一方で、その運営の在り方や、若い力士たちが安心して活動できる環境が整っているのか、私たち一人ひとりが考えていくことも大切ではないでしょうか。
よくある疑問(Q&A)
Q. 横綱と親方ってどう違うの?
A. 横綱は現役の力士の中でも一番上の地位です。親方は、引退後に後進を育てる役割で、「指導者」のような立場です。
Q. 相撲部屋が閉鎖されると力士たちはどうなる?
A. 他の部屋に移籍して相撲を続けることになります。ただし、環境が変わるため、精神的な負担も大きいとされます。
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