今回は、近年増加しているTOEIC試験の不正受験問題と、それに関連して再逮捕された中国籍の京都大学大学院生に関するニュースをもとに、じっくりと詳しくお話ししていきたいと思います。
TOEICを受けたことがある方、これから受けようとしている方、あるいは英語試験に関心がある方にとって、とても大事なお話になります。なるべくフランクで読みやすい形でお届けしますので、最後までお付き合いください!
🎯 ■ 事件の概要

今回話題となっているのは、中国籍の26歳の男性が、TOEIC試験を他人になりすまして受験した疑いで、警視庁により再逮捕されたというものです。この男性は京都大学大学院に在籍していたそうで、すでに一度逮捕されていたにもかかわらず、さらに複数の不正行為が発覚し、再逮捕となりました。
ちょっと驚きますよね? 一度逮捕されたあとに、さらに“再逮捕”という展開。では、なぜこのようなことが起きたのでしょうか?
🔍 ■ 再逮捕に至った理由
最初の逮捕は、他人の名前を使ってTOEICを受験したという容疑でした。ところが、その後の捜査で、同様の手口で複数回にわたって受験していた可能性が出てきたんです。
警視庁が押収したスマートフォンやパソコンからは、SNSのやりとり、依頼者の情報、偽造された身分証のデータ、さらには報酬のやりとりを示す履歴まで発見されました。これにより、単なる個人的な犯行ではなく、組織的な関与の疑いが強まったわけです。
再逮捕というのは、そういった「追加の証拠」が新たに見つかったときに行われるもの。つまり、今回の事件は“氷山の一角”である可能性があるということです。
🧩 ■ 組織的犯行の可能性
では、どうして「組織的」だと分かったのでしょうか?
根拠 | 内容 |
---|---|
① 通信手段 | 暗号化されたTelegramやWeChatを使用 |
② 偽造IDの存在 | 複数の偽造された身分証が押収された |
③ 他者の証言 | 複数の外国人留学生が依頼・支払いを証言 |
これらの要素が揃っていたため、単独犯ではなく「不正受験ビジネス」として動いていた可能性が高いとされています。
🎓 ■ TOEICってどれくらい大事なの?
そもそも、なんでこんなリスクを犯してまでTOEICの点数を上げたいの? と思う方もいらっしゃるかもしれません。
実は、TOEICスコアは日本社会においてかなり重視されている資格の一つなんです。
📌 TOEICスコアの主な利用例:
- 💼 就職活動や転職のアピール材料に
- 🎓 大学・大学院での進学・卒業要件
- 🏠 永住権・在留資格の申請での英語力証明
特に外国人留学生にとっては、学位取得や在留資格の維持に関わることもあるため、どうしても「スコアを確実に取りたい」という心理が働くのかもしれません。
ちなみに、東京大学では一部の講義でスコア提出が求められることはありますが、卒業要件としては必須ではない場合が多いようです。
🚫 ■ TOEICでの主な不正行為一覧

出典 getnavi.jp
ここでは、TOEIC試験において実際に見られた不正行為を一覧でご紹介します。
不正行為 | 内容 | 備考・処分例 |
---|---|---|
🕵️ 他人による替え玉受験 | 受験者本人になりすまし、他人が試験を受ける行為 | 最も重大な不正。警察への通報や刑事告発の対象 |
🪪 身分証明書の偽造・改ざん | 学生証やパスポートなどを加工し、本人確認をすり抜ける | TOEICでは顔写真付きの公的書類を原則要求 |
🪪 カンニング(メモ・スマホ等) | 小型メモや隠しカメラ、Bluetoothイヤホンなどを用いた不正 | 試験会場内は持ち物制限が厳しい |
🤝 他受験者との通話・示し合わせ | グループで受験し、合図などで答えを共有する | リスニング中に目配せなどを行う事例あり |
📸 試験問題の持ち出し・撮影 | 問題用紙や解答用紙を外部に持ち出す、または撮影 | SNS拡散や販売目的の行為もある |
🖍️試験後の答えの改ざん | 解答マークを終了時間後に塗り直すなど | 試験監督の目を盗んでの行為は厳重処分対象 |
🔓 事前に漏洩された問題の使用 | SNSや闇サイトで流出した問題を使って勉強 | 試験問題は非公開、漏洩は違法行為 |
🧨 運営妨害(虚偽申請・荒らし等) | 試験中に騒ぐ、無断キャンセルを繰り返す、虚偽申込など | 試験センターからの受験禁止措置もあり |
こうした行為が発覚した場合、運営団体から厳しい処分が下されるだけでなく、法的な罰則にも発展します。
🤖 ■ 最近の不正の新しいカタチ
最近のTOEIC不正は、昔ながらの単純な替え玉受験とは違い、テクノロジーの発達とともにかなり巧妙化・複雑化してきています。まさに「知恵と技術の悪用」と言えるような事例が増えているんですね。
ここでは、近年報告された不正トレンドについて、少し掘り下げてご紹介していきます。
👓 メガネ型カメラでのリアルタイム撮影&支援

今もっとも増えている手口のひとつがこれです。
受験者は**「普通のメガネ」に見える特殊カメラ**を装着し、試験中に問題用紙を撮影。映像はリアルタイムで外部の協力者に送られます。
そして外部では、その映像を見ながら問題を解き、Bluetooth経由で受験者に解答を伝える――という流れ。まさにスパイ映画のような不正です。
- 📡 映像送信:Wi-FiやLTE回線を使って暗号化通信
- 🎧 解答伝達:極小イヤホン(耳にすっぽり入って外から見えない)
これは「現場で誰にもバレない」ように工夫されており、監督官の目をすり抜けるケースもあるため、試験運営側も警戒を強めています。
🎙️ Bluetoothイヤホン&AI音声アシスト

出典 ai-market.jp
一見ただの受験者に見える人が、実は耳に小型Bluetoothイヤホンを装着していた――というケースも後を絶ちません。
最近ではこのイヤホンを通じて、外部のAIや人間サポーターが、問題の読み上げを聞きながら音声で答えを指示する、というスタイルも登場しています。
特にリスニングパートでは、問題が音声で流れるため、受験者のマイクで拾って即時解答するという**“AI+人間ハイブリッド型”不正**が確認されています。
💡 さらに進んだケースでは、骨伝導イヤホンや咽頭マイクを使い、「口を動かさずに音を拾う」技術まで使われているという報告もあります。
📱 SNS・掲示板での「代行業者」募集
Twitter(X)やInstagram、5ch、Telegramなどの匿名性の高いSNS・掲示板では、
「TOEIC代行やってます。800点保証」
「外国人の代わりに受けます。学歴偽装可」
といった投稿が散見されます。
多くの場合、支払いは仮想通貨(ビットコイン・USDTなど)やプリペイドカードで行われ、やり取りも暗号化アプリで行われるため、足がつきにくい構造になっています。
特にターゲットにされているのは、日本語が不自由な外国人留学生や、期限が迫っている就活生。精神的なプレッシャーが強い層に、甘い言葉で近づく手口が問題視されています。
🧠「TOEIC代行業者」の利用事例
実際に摘発されたケースでは、以下のような流れが判明しています:
手口の流れ | 詳細内容 |
---|---|
① SNSで接触 | 代行業者を掲示板やSNSで発見し、DMでやり取り開始 |
② 支払い | 仮想通貨・プリペイド型決済で匿名送金 |
③ 身分証・写真提供 | 本人確認書類を業者に提供(偽造の材料に) |
④ 替え玉手配 | 他人が本人になりすまして受験 |
⑤ 点数保証 | 所定の点数が出るように「保証付きプラン」も存在 |
日本国内だけでなく、東南アジアや中国のネット掲示板にも類似の業者が存在しており、国際的なネットワーク化が進んでいる実態もあります。
📸 隠しカメラ×AI技術の悪用
さらに技術的に高度な手口として、AI(人工知能)を組み合わせた不正も確認されています。
📷 具体的には:
- メガネやシャツのボタン、ペンなどに仕込まれた超小型カメラで問題を撮影
- リアルタイムでAIサーバーに送信
- AIが音声で瞬時に回答を返す(=音声認識&即答)
この「AI即答支援システム」は、まるでチャットGPTのような自動解答アシストですが、利用方法が完全に違法であるため、海外でも大きな問題になっています。
特に最近では、ChatGPT APIや音声認識AI(Whisperなど)を組み込んだ自作の不正解答アプリを作成して使うケースまで出てきており、技術リテラシーの高い受験者による不正も懸念されています。
🚫 これらはすべて「違法」です

上記のようなテクノロジーを駆使した不正行為は、一見すると「便利そう」「うまくいけばバレないかも」と思えるかもしれません。
でも、はっきり言っておきます。
✅ 全て明確に違法です。
✅ 発覚すれば、スコアの無効・今後の受験禁止・刑事罰の対象になります。
そして何より、不正で得たスコアは、人生のどこかで必ず重荷になります。
📌 補足:運営団体も監視体制を強化中
ETS(TOEICの運営団体)や国内の試験センターでは、以下のような対策を進めています:
対策内容 | 詳細 |
---|---|
顔認証導入 | 受験者と身分証の顔写真を照合する自動システム |
監視員の増員 | 試験会場ごとに監視スタッフを増やす |
カメラ・無線探知 | 不正機器を検出する専用センサー導入 |
受験履歴の分析 | 異常に高い得点や短期間の急上昇スコアをAIで分析 |
つまり、技術の進化に対しては、運営側も同等以上の監視力で対抗しているという状況です。
⚠️ ■ 不正がもたらす“代償”

不正行為による影響は、以下のように非常に重大です。
TOEIC試験の運営元である IIBC(一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会) は、不正行為が発覚した際、受験者や関係者に対して厳格な対応を行っています。
不正の種類や程度によって、行政的な措置から法的な処分まで、さまざまな対応が取られるため、ここで詳しくご説明いたします。
✅ 1. 行政処分・内部措置
IIBCは不正行為を非常に重く見ており、発覚した場合は以下のような処分が行われます。
🛑 処分内容 | 📝 説明 |
---|---|
❌ スコアの無効化 | 不正を行った試験の結果がすべて取り消されます。 |
⛔ 受験資格の停止 | 一定期間または無期限でTOEICの受験が禁止されます。 |
🗑️ 受験記録の抹消 | 不正が確認された受験の履歴が削除されます。 |
🏫 大学・企業への報告 | 該当者の氏名や不正行為の内容が、所属する大学や内定先などに通知されます。 |
🔴 2. 法的措置(重大な場合)
行政的な処分だけでなく、不正行為が偽造や詐欺などの犯罪行為に該当する場合は、警察や検察による法的な処罰が行われます。
⚖️ 法的措置の種類 | 📌 詳細内容 |
---|
👮♂️ 警察への告発 | 偽造身分証や私文書不正使用、詐欺行為で警察に告発されます。 |
🧨 偽計業務妨害罪(刑法233条) | 試験運営の正常な業務を妨害したとして逮捕・起訴される可能性があります。 |
🤝 共犯者の摘発 | 不正行為を依頼した人物や代行業者(ブローカー)も、共犯として同様に処罰されます。 |
🔄 処分の流れイメージ
以下のような流れて対象者には処分されます。
🪪 ステップ | 🔍 内容 |
---|---|
🧐 1. 不正行為の疑い発覚 | 試験監督や運営団体による不正行為の疑いを確認 |
📲 2. 調査・証拠収集 | スマホやIDのチェック、映像解析、関係者の聴取を行う |
🧾 3. IIBCによる行政処分 | スコア無効や受験停止などの内部処分を実施 |
👮 4. 警察・検察への通知 | 犯罪行為の疑いがある場合、警察に告発し捜査が開始 |
🏛️ 5. 刑事手続き | 逮捕・起訴・裁判が行われ、有罪判決の場合は刑罰が科される |
🧑🏫 ■ 専門家のコメントも紹介
日本大学・川村教授(危機管理学)は次のように語っています:
「不正受験は社会の信頼を損なう行為であり、試験制度そのものの根幹を揺るがす問題です。今回のケースは氷山の一角に過ぎず、制度と倫理の両面からの対策が急務です」
学術の立場から見ても、非常に重大な問題だということがわかりますね。
🌱 ■ 最後に:努力が一番の近道

TOEICのスコアは、あなたの努力を測るものです。たしかに英語の勉強は地道でしんどいときもありますが、不正に手を出すくらいなら、素直に勉強してスコアを伸ばした方がずっと良い未来につながります。
たとえ時間がかかっても、自分の力で勝ち取ったスコアは、どんな時でもあなたの武器になります。そして何より、自分自身を裏切らないで済みます。
📘 ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。
TOEICを受ける皆さんが、正々堂々と、自信を持って試験に臨めるように——そんな願いを込めてこの記事をお届けしました。
また次回も、分かりやすくて役立つ情報をお届けしますね!
コメント