~石油の次は「ゲーム」!? 世界が注目する中東の野望とは~
今日は、世界のゲーム業界でじわじわと熱を帯びている「サウジアラビア」の動きについて掘り下げてみたいと思います。
「サウジ=石油の国」というイメージを持つ方が多いかもしれませんが、今や彼らの新しい“国家戦略”はゲームとeスポーツ。
そして、その波が日本にも届き始めています。
🏗️ サウジが「ゲーム国家」を目指す理由とは?

その中で特に力を入れているのが、「ゲーム」と「eスポーツ」です。
国家系ファンドである PIF(Public Investment Fund) は、すでにゲーム関連分野に数千億円規模の投資を行っています。
その中核を担うのが Savvy Games Group。
この企業は、グローバルでゲーム開発・大会運営・eスポーツ支援などを行い、「2030年までに世界のゲーム市場の一大拠点になる」という野心的な目標を掲げています。
サウジアラビア政府は「Vision 2030」という国家プロジェクトを掲げています。
これは、現在の石油依存から脱却し、観光・教育・エンタメ・テクノロジーなど新しい産業を育成する長期構想となっています。
📊 サウジのゲーム戦略・投資概要(2025年時点)

出典 newt.net
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 国家戦略 | Vision 2030(非石油経済への転換) |
| 主導組織 | PIF(Public Investment Fund) |
| 運営企業 | Savvy Games Group |
| 投資総額(目標) | 約3,780億円(1420億サウジリヤル)規模 |
| 主な投資対象 | eスポーツ大会運営、ゲーム開発会社、配信インフラ、クラウド技術 |
| 代表的イベント | Esports World Cup(リヤド開催) |
| 目標 | ゲーム産業で世界トップ3入り、国内雇用20万人創出 |
サウジは「ゲームを通じた若者雇用」「国際的ブランド化」「観光との連携」を狙っており、
“石油の次はゲーム”という大胆な産業転換を実際に進めています。
🤝 日本企業も動き出した!SBI×Hawk Groupの提携
そして、ここで注目したいのが日本の動きです。
2025年10月、日本のSBIグループがサウジのHawk Group LLCと業務提携を発表しました。
分野は、まさにこの「ゲーム」「eスポーツ」と「メディア・コンテンツ」。
SBIは金融・投資の印象が強い企業ですが、実は最近、エンタメ・メディア事業にも本格参入しており、
この提携は**「日本のクリエイティブ × サウジの資本」**をつなぐ試金石になりそうです。
この動きによって、日本のゲーム会社やクリエイターがサウジ市場に直接アクセスできるチャンスが広がります。
また、サウジの若者にとっても、日本のゲーム文化に触れる新しいきっかけとなるでしょう。これをきっかけに新しいビジネスも生まれると考えています。
💰 サウジがゲームに力を入れる3つの理由
それでは、サウジがここまでゲームに注力する理由をもう少し掘り下げてみましょう。
- 経済の多角化(脱・石油依存)
石油価格の変動リスクを減らし、安定した収益を得るために、新産業の育成が急務となっています。
ゲーム産業は“若者に強く訴求できる非石油ビジネス”として注目されています。 - 文化輸出と国際的影響力の拡大
映画・音楽・アニメと同じように、ゲームを文化の発信装置として活用。
特にeスポーツは、国際イベントや観光誘致に直結する「新しいソフトパワー」です。 - テクノロジーと雇用創出
ゲーム開発を通じてAI・クラウド・CG・VRなど多分野の技術を育成。
2030年までに20万人以上の雇用を生み出す目標を掲げています。
💡 ゲームが国家プロジェクトに!? 他国との比較
| 国名 | 政府のゲーム産業施策 | 投資規模 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| サウジアラビア | Vision 2030で国家戦略に位置付け | 約3,780億円 | eスポーツ大会・M&A主導 |
| 韓国 | eスポーツ振興法を制定 | 数百億円規模 | 国内大会・海外輸出強化 |
| 中国 | Tencentなど巨大企業中心 | 数兆円級 | 開発・配信・IP支配型 |
| 日本 | 経済産業省が支援制度を強化 | 約数十億円 | 中小支援・国際展開強化 |
サウジは、もはや“追う側”ではなく、“仕掛ける側”に回っています。
そのスピードと資金力は、他国と比べても圧倒的です。
🌍 世界が注目する「ゲーム外交」という新しい形

リヤドで開催された「Esports World Cup」は、まさにその象徴です。
世界中のプロチームが集結し、総額数十億円の賞金が用意された超大型イベント。
観光客の誘致だけでなく、**「ゲーム=国のブランド」**としての発信力を見せつけました。
これは単なるイベントではなく、「文化を使った外交」でもあります。
日本のアニメが世界に広がったように、サウジはゲームを通して“新しい国際言語”を作ろうとしているのです。
⚡ 日本にとってのチャンスとリスク
サウジとの協業は、日本にとっても魅力的な機会を秘めています。
しかし、同時に慎重に考えるべきポイントもあります。
| 視点 | チャンス | リスク |
|---|---|---|
| 資本 | 大規模な投資資金を得られる | 権利や収益分配の不透明さ |
| 市場 | 新興地域(中東・欧州)への進出 | 現地文化・規制への対応が必要 |
| イベント | 国際eスポーツ大会への参画 | 政治的意図への誤解リスク |
| IP | 日本のキャラクターやゲームIPの展開 | 表現制限・検閲リスク |
このように、チャンスとリスクは表裏一体。
特に契約や文化的感覚の違いには注意が必要です。
「資金を得る代わりに、どこまで権利を委ねるか」は、今後の重要テーマになりそうです。
💼 ビジネスとしての可能性:企業・開発者ができること
ゲームやeスポーツ業界に関わる企業にとって、サウジとの連携は“夢物語”ではありません。
具体的にできることは以下の通りです👇
- 共同開発プロジェクトの立ち上げ
サウジ資本で新規タイトルを開発したり、現地スタジオとR&Dを共有する動きが可能です。 - イベント・大会の共催
日本企業が運営ノウハウを提供し、サウジ側が資金と会場を提供する「共催モデル」。
これにより、世界大会の日本予選やコラボイベントも現実的になります。 - 文化交流としてのゲーム輸出
サウジでは日本アニメやRPGが高い人気を誇ります。
日本らしい世界観・ストーリー性を活かした“文化輸出型ゲーム”は、非常に相性が良い分野です。ここに伸びしろがあると考えます。
🔮 今後10年で見えてくる未来予測

出典 famitsu.com
サウジの動きは一過性ではなく、長期戦略です。
2030年に向けて、以下のような変化が起こる可能性が高いと考えられます。
| 予測項目 | 内容 |
|---|---|
| 日本企業の進出 | SBIを皮切りに、他の大手や中小ゲーム会社も提携を模索 |
| 国際大会の増加 | 日本×サウジ共催のeスポーツイベントが増加 |
| クリエイター交流 | サウジの若手と日本の開発者が共同チームを結成 |
| 投資の多様化 | ゲームだけでなく、アニメ・VTuber・XR技術への投資拡大 |
これらはまだ始まりにすぎません。
今後5〜10年で、「中東=ゲームの新ハブ」と呼ばれる時代が来ても不思議ではありません。
💬 最後に:ゲームが“国の力”になる時代へ
ゲームはかつて「娯楽」と呼ばれていました。
しかし今、それは文化であり、ビジネスであり、外交手段でもあるのです。
サウジの「ゲーム大国構想」は、単にお金をかけたプロジェクトではありません。
そこには“国を変える”という強い意志があります。
日本もその流れを無視することはできません。
資本と技術、そして文化が交わる場所——
そこに、新しいエンタメの形が生まれようとしています。
🕹️ まとめ

- サウジは国家戦略「Vision 2030」でゲームを中核産業化
- SBI×Hawk Group提携で日本も本格参入
- チャンスは大きいが、文化・契約面のリスクにも注意
- ゲームは「遊び」から「外交・経済の武器」へ進化
- 次の10年、日本と中東が“エンタメで繋がる時代”が来る
今後のゲーム業界や、サウジアラビアとのゲーム、eスポーツでの連携がどう発展するのか、目が離せません!

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