🧭 はじめに:学力低下という現実を直視する

出典 asahi.com
文部科学省が発表した全国学力・学習状況調査の最新結果(2024年度)によると、小学6年生と中学3年生の学力が、全教科において大幅に低下したという、衝撃的な結果が出ました。
とくに低下が顕著だったのは、以下の科目です:
- 小6:国語・算数
- 中3:国語・数学・英語
この調査は、毎年ほぼ同じ形式・同レベルの問題で行われているため、**単なる問題の難易度ではなく、「子どもたちの学ぶ力自体が落ちている」**と見るのが自然です。
夏休みが始まったばかりで「また勉強の話?」と感じる保護者もいると思いますが、今こそ、学力の根っこを見つめ直す良い機会ではないでしょうか。
📉 子どもの学力低下、その背景とは?

主な要因として考えられるのは以下の5点です:
- スマホ・SNSの利用時間増加による集中力の低下
- コロナ禍による授業不足・学習の定着不全
- 家庭の学習支援力の格差
- 読解力や基礎学力の衰え
- 学ぶ目的の希薄化・学習意欲の低下
とくにスマートフォンの普及と、パンデミックによる学習環境の大きな変化は、子どもたちの学び方や生活習慣そのものを変えてしまいました。
🧠 コロナ禍が学力に与えた3つの影響
文部科学省の報告や複数の民間調査を総合すると、コロナ禍が子どもの学力に与えた影響は極めて深刻です。
① 授業時間の減少
- 2020~2021年にかけて全国的に休校・分散登校・オンライン授業が実施。
- 教科書内容の「未消化」が多数発生。
② 学びの質の劣化
- 画面越しの一方向授業により、「考える力」「対話力」が育ちにくい。
- 一人ひとりへの指導が不足し、つまずきを放置したまま進級するケースが増加。
③ 精神面への影響
- 孤独感や不安感から学習意欲が著しく低下。
- メンタル不調により、不登校・無気力の生徒が増加。
📱 年齢別スマホ利用時間とその学力への影響
スマホの使用時間が学力にどれほど影響しているかは、文科省や総務省の調査でも明確に示されています。
✅【1】学年別のスマホ利用時間(1日あたりの平均)

学年 | 平均利用時間(平日) | 利用傾向・特徴 |
---|---|---|
小学1~3年生 | 約30〜60分 | ゲーム・YouTube視聴中心、保護者の端末を使用するケース多 |
小学4~6年生 | 約60〜90分 | 自分専用スマホを持ち始める子が増加。動画視聴・SNSの使用が増える |
中学1~2年生 | 約120〜150分 | SNS(LINE、Instagramなど)・動画・ゲーム・通話・音楽など多用途 |
中学3年生 | 約150〜180分(3時間前後) | 通信制限がなければ4時間以上という報告もあり、スマホ依存傾向が顕著 |
※総務省「青少年のインターネット利用環境実態調査」(2023年度)、文科省「全国学力・学習状況調査」などから推定
❗スマホが学力に与える具体的な悪影響

影響 | 内容 |
---|---|
⏱学習時間の減少 | スマホ利用が長いほど、家庭学習の時間が短くなる傾向がある。 |
🧠集中力の分断 | 通知・SNSのやりとりにより、注意力が持続しにくくなる。 |
🌙睡眠不足 | 寝る前のスマホ使用で入眠が遅れ、睡眠の質が低下。 |
📖読解力・語彙力の低下 | 動画・短文中心の情報摂取で、文章を読む力が育たない。 |
🎓 学年・教科別|学力低下への具体的な対策
小学6年生(国語・算数)
教科 | 対策 |
---|---|
国語 | 親子での音読と感想交換、語彙カード活用、記述問題に慣れる練習 |
算数 | 計算ドリルを毎日10分、図解力を育てる、生活の中で算数を使う |
中学3年生(国語・数学・英語)
教科 | 対策 |
---|---|
国語 | 新聞社説の要約・意見交換、記述問題練習、読書習慣の復活 |
数学 | 教科書の基本問題を完璧に、動画学習、過去問演習の活用 |
英語 | 音読&書き取り、英語日記、英語アニメを字幕つきで視聴 |
👪 保護者ができる5つの学力支援法
サポート内容 | 具体策 |
---|---|
学習環境の整備 | 勉強専用スペースを用意、スマホ・テレビは遠ざける |
学習習慣の定着 | 毎日同じ時間に10〜30分勉強、食後のルーティン化 |
内発的動機づけ | 「なんのために学ぶのか?」を対話する |
小さな成功体験 | 「できたね」を積み重ね、自己肯定感を育む |
デジタル制限 | スマホの夜間制限、アプリの管理、利用ルールを共有 |
🧭 年齢別|スマホと学習のバランスの取り方
小学1〜3年生
- 親子で一緒に使う
- 「10分ドリル→10分スマホ」のような交換型ルール
- 見る時間は最大30分まで
小学4〜6年生
- 自分で記録をつける(スマホ日記)
- 家族会議でルールづくり
- タイマーアプリで時間制限
中学生
- 夜9時以降は使用禁止(デジタル門限)
- 勉強目的のスマホ活用を推奨(英単語アプリ等)
- 週1日は“ノースマホデー”を設定
📱 学びに活かせるおすすめ学習アプリ5選

アプリ名 | 対象 | 特徴 |
---|---|---|
Think!Think! | 小学生 | 論理的思考力を育てるパズル型知育アプリ(10分制限あり) |
ワオっち! | 小学生 | 算数・国語・英語などをゲームで楽しく学べる |
NHK for School | 全学年 | 社会・理科など幅広く学べる無料の教育動画サイト |
スタディサプリ | 中学生 | 主要5教科対応、1日10分〜動画で復習・先取りが可能 |
Monoxer | 中学生 | 英単語や漢字をAIが定着までサポートする暗記アプリ |
📝 おわりに:スマホは敵ではない、学びの道具に変えよう

出典 文部科学省
スマートフォンは、使い方次第で「敵」にも「味方」にもなります。
大切なのは、「どう使うか」「どれだけ自分を律せるか」です。
そして子どもにとってその第一歩は、大人が正しく使っている姿を見せることかもしれません。
勉強も生活も、正解は1つではありません。ですが今、この夏休みに「どうやってスマホと付き合い、学びに向かわせるか」を一緒に考えることが、きっと子どもの未来につながると信じています。
🧾 参考資料・データ出典
- 文部科学省「全国学力・学習状況調査(2024年度)」
- 総務省「青少年のインターネット利用環境実態調査(2023)」
- ベネッセ教育総合研究所「家庭学習と学力調査報告書」
- スタディサプリ教育総合研究所「スマホと学習に関する保護者アンケート」
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