ホンダが2025年に送り出した新型「プレリュード」が、発売直後から異例のヒットを記録している。
発表直後の受注は月販計画の約8倍。一部販売店では早くも受注を停止するほどで、ホンダとしても予想を超える反響だという。
なぜいま、そしてなぜこのクルマが、これほどまでに人々の心を動かしているのか。
今回は、購入層・人気の理由・市場での立ち位置を整理します。
👨🦳 1. 購入の中心は50〜60代──“かつてスポーツを愛した世代”

ホンダの販売現場によると、プレリュードを予約・契約した層の中心は50〜60代の男性だ。
この世代は、かつてシビックやS2000、初代プレリュードなどに親しんだ“スポーツカー黄金世代”。
「子育てを終え、再び自分のためのクルマを持ちたい」「かつてのホンダスピリットをもう一度感じたい」──そんな想いが購入動機になっている。
セカンドカーとしてのニーズも高く、**趣味性と実用性を両立できる“現実的なスポーツカー”**として支持されている点も興味深い。
💰 2. 価格617万円──“買えるスポーツ”の絶妙なライン

出典 gqjapan.jp
プレリュードの価格は約617万円。
スポーツクーペとしては決して安くはないが、同クラスのトヨタ・スープラ(約780万円〜)やレクサスRCと比較すれば、手の届くレンジだ。
想定される購入層の世帯年収は600〜900万円台。
燃費性能はWLTCモードで21.4km/Lと優秀で、自動車税(約3.9万円/年)や保険料を含めても年間維持費は約10万円台前半に収まる。
“スポーツカーでありながら経済的”という点は、ハイブリッド(e:HEV)を採用した大きなメリットだ。
⚖️ 3. 比較して見えるポジション──“激しさより上質さ”

プレリュードの立ち位置を明確にするため、主要競合モデルと比較してみよう。
モデル | 駆動方式 | 価格帯 | 特徴 |
---|---|---|---|
ホンダ プレリュード | FF+e:HEV | 約617万円 | 上質で快適なハイブリッドスポーツ |
トヨタ スープラ | FR+直6ターボ | 約780万円〜 | ピュアスポーツ、走り重視 |
日産 フェアレディZ | FR+V6ターボ | 約560〜720万円 | 伝統的スポーツ、クラシカル志向 |
スバル BRZ | FR+2.4L NA | 約360〜420万円 | 軽快・若者向けスポーツ |
スープラやZが“走りの純度”を追求する一方、プレリュードは**「快適性と操る楽しさの共存」**を志向する。
ホンダ独自のハイブリッドシステムがもたらす滑らかな加速と静粛性は、他のスポーツクーペとは一線を画す。
「大人のためのスポーツカー」という表現が最もふさわしいだろう。
⚙️ 4. ホンダの狙い──“操る喜び”を未来へつなぐ挑戦

出典 honda.co.jp
プレリュードの復活は、単なる懐古ではない。
開発責任者は「電動化の時代にも“操る喜び”を残したい」と語る。
ハイブリッドでありながらシフトフィールを再現する「Honda S+ Shift」は、その理念を体現する仕掛けだ。
このシステムによって、ドライバーはアクセルとステアリング操作を通じて“自分で走らせている感覚”を味わえる。
ホンダが掲げる“Heart-moving Mobility”──つまり「心を動かす移動体」を具現化した1台と言える。
⛽ 5. 維持しやすく、走りも楽しめる──“現実的な夢”のかたち
プレリュードはスポーツカーとしての魅力と、日常的な使いやすさを高次元で両立している。
燃費21.4km/Lという数値は、フェアレディZ(約9〜10km/L)の2倍以上の効率。
週末のドライブだけでなく、通勤にも十分使える“リアルに所有できるスポーツカー”なのだ。
ホンダのハイブリッド技術が、趣味性と実用性を見事に融合させた好例と言える。
🧭 6. まとめ──理屈ではなく、感性で選ぶ1台

新型プレリュードは、理論値や性能スペックを競うクルマではない。
数字では測れない“心の高揚”を呼び覚ます存在だ。
若い頃にハンドルを握っていたあの感覚を、もう一度。
そして、次の世代に「ホンダのスポーツ魂」を受け渡すために。
このクルマは、理性ではなく感性で選ぶ人のためのスポーツカーである。
💬 「ホンダが再び“心で走るクルマ”を作った」
——その言葉こそ、プレリュード復活の本当の意味を物語っている。
📎 参考出典
- Honda公式ニュースリリース(2025/10/07)
- CarWatch / Response / BestCarWeb 各報道
- 損保ジャパン試算、Honda公式諸元表
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